中国サーバーに行ってみた話
中国ではお国の事情により、海外の企業がオンラインゲームを運営することが認められていません。FFXIV の中国版も同じく、スクエニと現地企業の SDO 社(盛趣遊戯)との契約により、SDO 社が運営しています。
SDO 社はさらに大手のテンセント社と一部業務提携しているが、ここでは基本的に SDO 社が独自運営しているものを紹介します。
以下中国版とグローバル版と呼び分けます。
基本的には中国版はグローバル版より半年程度遅れています。このブログを執筆する時点ではグローバル版が 6.35 から 6.38 へのアップデートの最中ですが、中国版はまだ 6.25 となります。また、シーズナルイベントは開催時期がグローバル版より一か月程度遅れているが、報酬は一年分遅れます。例えば中国版の紅蓮祭 2022 の報酬はグローバル版の紅蓮祭 2021 の報酬になります。モグコレなどでは完全に独自の報酬設定になります。
正直グローバル版はどうだったのか記憶が曖昧だけど、中国版をインストールするときは:
- ウェブからダウンローダーをダウンロード
- ダウンローダーを使ってゲーム本体(ランチャー)をダウンロード
- 本体をインストールしてからランチャーでアップデート
と言うちょっと回りくどい手順になります。ダウンローダーでは最新版のダウンロードができないのはなかなか面白いけど、ランチャーでアップデートするには本体以上に時間がかかると思うと笑えません。
また、日本語環境ではダウンローダーと本体のインストーラーの一部が文字化けしますけど、ランチャーとゲーム本体では問題ないので、流れでこう言う時は大体このボタンを押しますよと雰囲気で進めばインストールは無事にできます。
アカウントを登録するには携帯番号と中国の身分証による年齢確認が必要です。携帯番号については日本の番号でも登録できるのでそこは別に問題はありません。厄介なのは身分証番号です。ただしあくまで年齢確認であり、本人確認ではありませんので、ここでは紹介しませんが回避策はいくらでもあります。
ここまで来て初めて料金について話しましょう。中国版ではプレイ権と言う概念がなく、すべて無料となります。拡張パッチも買う必要がありません。この意味では手軽に始められると言うメリットが目に見えます。ただし、月額料金がかかるのはグローバル版と同じです。中国版では月額料金の他に、定額でプレイ時間を課金すると言う方式も併存しています。現時点では、月額方式で月 88 人民元(約 1714 円)というグローバル版よりやや高めの料金設定となります。また、オンラインストアで販売されているコスチュームセットや幻想薬なども全体的にグローバル版より高い傾向があります。
時間課金方式だと 1 時間当たらり 0.6 人民元(約 12 円)になります。
グローバル版で言うフリートライと同じように、中国版でも新アカウントに対し、登録 14 日間以内・最大 30 時間のプレイ時間が無料で付与されています。課金しない限りフリートライと同じ制限がかかれており、一定期間内に課金しないとデータが削除されることもあります。
中国版では現在 4 つの DC があります(中国語では「大区」と呼ぶ)。ただし、この 4 つの DC は中国全国にばらばらで設置されているため、中国版ではいまだに DC 間トラベルが実装されていません。また、中国版ではランチャーで DC を選びます。ゲームを立ち上がると DC の切り替えができませんと言う点もグローバル版と違います。
同じゲームなのでゲームシステムはグローバル版とそう変わりませんが、ところどころではやはり微妙に違ったりします。
まず各種設定をグローバル版から中国版に移行するときから色々違いがあります。
複数キャラクター間に設定を同期したことがある方はわかるかもしれませんが、グローバル版では、キャラクター設定が個人フォルダーの C:\Users\USER_NAME\Documents\My Games\FINAL FANTASY XIV - A Realm Reborn\FFXIV_CHR004000000XXXXXXX
に格納されています。一方で、中国版ではゲーム本体のインストール先である D:\FFXIV_CN\FFXIV\game\My Games\FINAL FANTASY XIV - A Realm Reborn\FFXIV_CHR004XXXXXXXXXXXXX
に格納されています。
現時点ではグローバル版が 6.35 であり、中国版はまだ 6.25 であるため、バージョンの違いによるものか、格納形式の違いによるものかわかりませんが、ホットバー・キーバインド・マクロのみ移行ができます。キャラクターコンフィグ・HUD 配置などは移行されませんので改めて設定しないといけません。
また、マクロの移行はできますが、言語が違うのでほとんどの /ac スキル名
は動きません。ただし定形文にしたものであれば自動的に中国語に訳されます。例外として一部偶然で中国語と日本語表記が同じのものに対しそのまま使えます(例えば /ac 生命活性法 <mo>
)。
余談ですが中国版では中国語しかないのに定形文はしっかり残っています。
このようにシステム上の違いはまだまだあります。例えばグローバル版ではキャラクターの名前はきっちり名前・苗字に分かれたことに対し、中国版では分けておらず、英・漢字合計で 6 文字以内と制限されているので名前を思いつくのも非常に困ったものでした。
また、システム設定をいじったとき偶然に気づいたのは、迷惑発言フィルターがオフにできないことです。やはりお国の事情って感じがします。
お国の事情を感じたもう一つの点として、中国版とグローバル版の下着が違います。グローバル版では、何も装備しないと、白い無地の下着が表示されるが、中国版ではもはや装備と言っていいくらいの布が巻かれています。やはりこの辺は国の規制にかからないための対策とは思います。
翻訳の話はあまり持ち出したくないですが、グラカンの「不滅隊」は中国版では「恒輝隊」と呼びます。「黒渦団」と「双蛇党」はそのまま使っているのになぜ不滅隊だけ変わっているのかって聞いたら、昔は「不滅隊」だったけど検閲の機関に怒られて仕方なく変えたらしいです。
他にも、パーティに若葉の初見さんがいる場合、全員に変な超える力が付与され、獲得できる経験値・ギルが上昇するなど変なバフがあります。
ちなみに中国版の被招待者ボーナスには、レベル 60 までのジャンポを一つだけもらえます。さらにメインクエストをタイタンまでやれば新生冒険録がもらえます。そのまま 3.0 までスキップできます。新生クエはお遣いが多いとは言え一度もプレイしたことのない初心者に冒険録を勧めるのはどうかと思います。
グローバル版でも日本 DC と北米 DC と文化が違うと同じように、中国版でも独自の文化があります。
体感で最も感じやすいのは新人に優しいところです。若葉のままリムサで歩いただけで、ビギナーチャンネルに招待されたことがあります。ちなみにグローバル版で初めてビギナーチャンネルに入ったのはメンターになってからなのでその差がすごく実感します。一方で、ビギナーチャンネルはもはや雑談の場にもなっているように活発しています。この点も少なくとも Ixion とは大違いです。また、ウルダハで棒立ちしたらよく知らない人のFCに招待されたこともあります。ここまで来たら流石にちょっと怖いと思いました。
コンテンツ関連の違いを言うと、まずコンテンツや・パーティに入るときは誰も挨拶しません。退出するときは一部の人は「お疲れさまです」と同じニュアンスの挨拶はしますが、体感的には半分以下なので基本的にはやはりノー挨拶。
さらに、エデンやノーマル辺獄編あたりは思った以上に過疎しており、タンクでも 30 分以上経ってもシャキりません。その場合は「初見ボーナス付き」って募集出した方が早いと言われます。
募集といえば、中国版のパーティ募集はもはや無法地帯となっています。グローバル版では、指定の目的から外れた募集をすることが禁止事項となっていますが、中国版ではそれが横行しています。ルーレットや討伐のタブにはグローバル版で目的なしと登録すべきものまみれで通常の募集が見つかりにくいです。
中国版はグローバル版より半年程度遅れているため、零式などが実装される時点ではすでに攻略法が確立されています。グローバル版と違い、戦法が乱立した時期がないので、基本的には最初から統一された戦法で攻略します。そのため、マクロを流さないのが一般的だそうです。また、グローバル版では最適化されていない戦法が誰かのせいで流行ったとよく言われますが、中国版では全て最適化された戦法を採用しますと知人に自慢されました。例えば今回の煉獄二層の場合、ぐるぐるではなく、固定散会式が採用されています。これで近接が12秒に当たっても殴れます。ただし、この攻略法では立ち位置に非常にシビアで、マーカーではなく床の一番小さい四角真心に立たないと事故るので、固定でやる場合でも一週間くらいかかると言われます。野良では地獄のような光景が目に見えます。
最後に、ネット環境を言うと、地理的に距離が長い分、遅延やパケロスが増えるのは考えられます。ひどい時はコンボを撃って0.5秒程度経ってからコンボの二段目がprocする時もあります。ただし、パーティメンバーもよく落ちたり赤玉出たりするので、中国国内からでもネット環境がそんなに良くないと思われます。
追記:
知り合いからどうしても補足説明してほしい内容があり、追記とさせていただきます。
中国版とグローバル版の料金システムについて、もう一つ大きな違いがあります。グローバル版では、追加のリテイナー人数に対し月額で料金が発生します。いわゆるサブスク方式の料金システムとなっています。これに対し中国版では一回限りの料金で、リテイナー枠を1枠拡張できます。時間制限なしで永続有効で、値段は 1 枠 120 人民元、約 2346 円です。日本の場合月額 220 円なので単純計算すると 10 カ月以上雇い続ければそれを超えるので非常にお得になります。
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